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貞末良雄のファッションコラム

32 I am OK but You are not OK. new!
31 上質について考えてきたこと
30 虎穴に入らずんば(2)
29 虎穴に入らずんば(1)
28 クールビズと礼節
27 今を考える
26 シャツのSIZEについて
(思い込みと常識について)
25 ビジネスマンの背広姿
24 一通のレポート
23 年頭に思う
22 失敗の本質
21 Back to basic
20 英国紳士が泣いている?
19 新年のご挨拶
18 日本男子の忘れ物
17 男の品格の為に知っておきたい事
16 スーツに白い
スポーツソックス編
15 番外編
14 オジさん改造編
13 〜SHOES〜
12 究極のトラウザーズ
11 モノ創りの思想
10 伝統と誇り
9 最重要なツールとしての服装
8 Made in Japan
(メイド・イン・ジャパン)の評価
7 紳士服は英国に学ぶ【2】
6 紳士服は英国に学ぶ
5 国際社会における
洋装着用技術の重要性
4 メンズファッションの起源【4】
3 メンズファッションの起源【3】
2 メンズファッションの起源【2】
1 メンズファッションの起源【1】

Vol.32 I am OK and you are OK.

私は正しいけれど、あなたは間違っている。

1945年第二次大戦終了後、日本にやって来たマッカーサー元帥が、日本人はこんな考え方の人が多い、と言ったという話を私は30才代に聞いた事がある。
アメリカでは、こんな考え方は10才代の未青年の考え方であるから、日本人の大人は未青年と変わらない。しからばアメリカ人の大人の考え方は何か? それは「I am OK and you are OK.」
私も正しいが、あなたも正しいという事である。

なるほど、そうなのか、アメリカ人は心が広いな。くらいに思って忘れていたが、創業して、経営をするようになって、初めてこの言葉の重みを痛切に感じる事が多くなってきた。

アメリカでは100種類以上の人種が一つの国を形成している。生まれ、育ち、民族、ルーツが全く違う人種が、どの様にして調和して生きて行くか。
牛が神様だったり、豚が神様だったり、牛乳を飲んではいけない民族がいたり、コーラも許されない、もちろんアルコールは駄目など、日本人には理解する事すら難しい。
こんな民族の集合体がアメリカ(ユナイテッドステイツオブアメリカ)である。 ここで皆様にもお判りの様に、「I am OK but you are not OK」とは死んでも言えないのではないでしょうか?

日本人はほぼ単一民族ですから、生まれ素姓が違っていても根本的な相違はない。
だから、他人のことは判っている。彼の考えは聞かなくても私の考えが正しい。
ここでオレは正しい、しかしお前は間違っているなどと、一人よがりの他人を顧みることのない未熟な考え方がまかり通ってしまう。
異民族の集合体では私の考え方も間違っていないと思うが、あなたの考えも、その立場上理解し得るものであり、あなたも正しいと思う。
「I am OK and you are OK」

しかし今回、事を進めるに当ってどちらかの考え方一つにしなければならない。
そこで双方が徹底的に議論する。それでも双方譲らない場合はコインを投げて裏表で決定する。(ジャンケンでもよいが、アメリカには無い)
決定したらその決定を尊重して全力でそれに当るというルールが確立している。

会社を運営していると、お客様からは貴重な御意見を多く戴いている。
建設的で素晴らしい御意見であって、それ自体間違っていないものであるが、経営を投げ打ってその正しい意見を実行する事が出来ない。
経営はバランスであり、その人が言う最高の物作りをしても価格と品質のバランスを崩す物であってはならない。
その人は言う。
「4900円のカシミヤのマフラーなど、毛羽がついて最高級のものとは言えない。 価格は高くなっても梳毛糸を使って編み、毛羽の出ないカシミヤこそが本物だ。 お前の会社のマフラーはまやかし物である。」
しかし梳毛糸のマフラーを作るとしたら2万円は越える。
そんなカシミヤマフラーを一点持って、後生大事に使うという考え方もあるが、 カシミヤのフワーとした感触、優しい暖かさが4900円で手に入る。
この値段ならば、服の色、コートの色に合わせて何色か持って楽しみたい。
そんなお客様が私達のお客様であり、どんな商いも、全ての人を顧客にすることは出来ない。

私達が想定するお客様は、私達と同じ思いで商品を購入して下さり、想定した通りに、その商品を楽しんで下さる。そして商品に満足された人達が再び私達の店に来て下さる。そんなフローが会社の基盤になっていく。

今、私達の作るシャツは50万着という、100万mのハイエンドな生地を購入する力から、とてつもなく品質の高いシャツ作りが可能になって来ている。全てのシャツ以外の商品には当てはまらないこともある。

人が何かを主張する。
それは、その人の主観によるものであるから、その根拠は、その人の体験、読んだ活字、人の話等が基になって形成される。
人はそれぞれ違った生活体験をしているから、各々の主観が存在する。自分の主観こそが正しいなど主張することは愚かである。主観が違うから論議が生まれる。

激しい論戦、それぞれの主観のぶつかり合いの末に双方が考えもしなかった新しい価値基準が生まれる事もある。
論議を通じてそれぞれの人が、自分の考え方のヒズミや、他の主観を容認するマナーが生まれる一方、大局的な視点も養うことが出来る。
私達がいる日本は特殊な国で、ほぼ単一民族であり、島国であって、一歩も国から外に出た事がない人が大勢いて、同質的で、他文化が形成する考え方にも接する事なく、集合的な無感覚になっているかもしれない恐れを持たねばならない。
日本の常識は、外国では非常識などと言われている。
今後の日本を考える時、国を離れ、自分の主観の何たるかを検証する機会を持ちたいものである。

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