マズローの心理学を読んだ。
人間は欲求に支配された動物であり、欲望は善でもなければ悪でもない。欲望を心(脳)がそれを制御する、唯一の動物が人間であると論じている。
欲望は、生理的欲求から安全欲求、差別欲求、優越欲求、最終的に自己実現の欲求となる。
人間は一つの欲望が充足されると、次のさらに高い欲求に向かう。
マーケティングで言う、この自己実現のマーケットに対応することは大変難しい。
自己実現は個人個人がそれぞれ固有のものであり、それまでの欲望は、スパイラル階段を駆け上がるように、方向はいつも一定であり、その欲求を捉える事はさほど難しくない。
成熟社会に到達した生活者がそれぞれ自己実現を模索するとなると捉え処がない。
人類が初めて経験するマーケット、顧客である。
顧客像を捉えるとき、自分の想定する人々又は、そうあって欲しい人々をマーケット
として考えなければ、商品創作は不可能となる。

誰の為に、何の為に、が問われる。

人格形成上の自己実現とは、その人に自己矛盾が極小化することを言っている。
物心つく頃から人は皆、同様にもう一人の自分と暮らすことになる。もう一人の自分は、常に冷静に自分を眺めていて、志した方向に努力しない自分をいつも叱咤する。彼を騙したり、裏切ったりすることは出来ない。何故ならば、彼は自分であるからだ。
もう一人の自分と和解する、誉めてもらえる。それには、自分でも信じられない位、努力し我慢し汗をかき、己に鞭を打ち、くたくたに疲れて眠りにつく時、
「お前良くやったな~」
そのように繰り返し繰り返し、自分を誉める事が出来た時に、少し自己矛盾の幅が狭まって来るように感じるものだ。

もう一人の自分が消えた時、自己実現の初期を迎えたと言える。
時々、もう一人の自分を呼び出すことも一趣だ。

マズローが言う自己実現の記述を少し紹介すると
彼は自己矛盾の程度が低く、自己との敵対関係にない、彼の人格は統合されている。
彼は自分自身への健康な敬意、つまり自分は有能かつ適任であるという知識、体験に基づいた敬意を持っている。
彼は自尊心に依存しなくても、他人からは当然の敬意を受けることも多い。
彼は不当な名声や悪評を求めもしなければ評価もしない。
彼は自分をコントロールしているという感情の力を有している。
彼は自分自身の運命をコントロール出来る。
彼は自分を恐れたり、恥じたり、自分の失敗にくじけたりしない。
それは彼が完璧だからでなく、彼はまた失敗するが、失敗を克服するからである。

私はこのマズローの言葉をいつも考え、
私の今は、果してこの言葉通りであるか、
課題は尽きない。