小さいころから服装に興味がある変わった子だった。
生まれて初めて見た米国陸軍の制服を、70年近く経ついまもはっきり記憶している。
自分ではごく自然のことと思っているが、大抵の人は驚く。

戦争が終わったばかりの敵国を進駐するのに、米兵は戦闘服ではなく、日常服を着ていた。
カーキ色のシャツとパンツ姿で、頭にはヘルメットではなくGIキャップ。もちろん丸腰。
日本をナメていたのか、信用していたのかは分からないが。

いまも目に焼き付いているのは、カーキパンツに折り目が付いていたのと、焦げ茶のブーツがピカピカだったこと。
日本兵とあまりの違いにカルチャーショックを受け、以来、アメリカコンプレックスに陥った。

爆撃で実家は全焼、原爆投下などひどい目に遭わせた米国なのに、
恨むどころかあこがれている精神構造はどうなっているのか。

8月15日終戦記念日に元軍国少年は複雑な思いである。(おわり)