兄と焼け跡の片付けをした。ぐんにゃり曲がった空気銃は悲しかった。
驚くことに焼夷弾が千本出てきた。広くもない家に千発も落ちていたのだから、
米軍が山の手大空襲にどれほど多くの焼夷弾を投下したのか想像がつく。

後で知ったのだが、米軍が日本向けに開発した焼夷弾は「M-69」といい、
木造家屋の屋根を突き破り、内部から火災を起こす設計だった。
ナパーム剤というゼリー状の油脂ガソリンが、着地すると爆発し、尾部から噴出する。
爆弾は破裂し周囲を破壊する、M-69は火災を起こす。始末が悪い。

焼け跡から引っ張り出した焼夷弾は丸ではなく6角形で、長さ6~70センチ、
直径10センチほどの鉄の筒。これを40本ぐらい束ねたものを投下、
上空でバラバラに拡散するのだからたまったものではない。

幸いわが家から死者は出なかったが、戦争とは残酷なもの、2度と起こしてはならない。
戦後70年、いま平和のありがたさをかみしめている。
(おわり)