「安宿の布団」の名は「マドラス」だと教えられた。しかもインド製と聞き「やっぱりな」と納得した。
あこがれのアメリカ製ではなく、インド製と知って企画スタッフはやる気を失った。
あのころはなんといっても「MADE IN USA」が最高の時代、VANはアメリカ大好きの若者の集団だった。

「インディアン・マドラス」が当初の呼び名だったが数年後、インディアンではなく、
インディア・マドラスが正しい表現と知り、それに倣った。

マドラスとは、インド南東部にあるマドラス地方(現チェンナイ)で古くから織られていた木綿地の総称。
チェックが有名だが、ストライプや無地にもいいものがある。
染めは昔ながらの草木染で、素朴な(悪くいえばやぼったい)味がする。

本場インドではこの素材を何に使うのかわからないが、アメリカではジャケットはじめパンツ、
ショーツなど、サマーカジュアルを代表するマテリアルとして珍重されている。
(つづく)