ヘリンボーンはいまさら説明する必要がないほど有名なトラッドパターン。
昔はこの柄を「杉あや」と訳した。「HERRING=ニシンのBONE=骨」と英国人の生々しい表現を、
杉の葉に見立てた先達の美意識にいまさらながら敬服する。 

昭和7(1932)年発行の『英和洋装事典』木村慶市編には
「ヘリングボウン=杉綾織。矢羽状をなせる綾織。鯡の骨の意。矢羽織。杉綾。杉織」
(原文のママ)と載っているので、多分明治時代に生まれた言葉と思われる。

ヘリンボーンもあやの太さによって雰囲気は大きく変わる。太いものはよりカジュアルで、
オーバーコートなど、中くらいはジャケット、細かいあやはスーツに使われることが多い。
ちなみに「あーかいぶす」のヘリンボーンは3/8インチ(約1センチ)を取り上げた。
60年代のジャケットに多様されたものよりも細いのは、
遠目に無地に見える控えめな杉のあやにしたかったからだ。

(つづく)

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