『英和洋装辞典』に登場する用語が素晴らしい、当用漢字にない文字がいっぱいある。

「片前(かたまえ)=シングルブレスト」、
「比翼(ひよく)=かくしボタン」、
「フライフロント」、
「外套(がいとう)=オーバーコート」など、

わたしが解読できる最後の世代だろう。

などなど、いまはやりのチェスターが、伝統的ファッション遺産なのが分かってもらえたと思う。
昔から「いわくを聞けばありがたや」と言う通りに、
1着のコートにもこれだけの歴史とウンチクがあることを知ると、
これまでと見る目が違ってくるはずだ。

伝統主義者のくろすとしゆきは、個人的にチェスタァフィールド・コートに昔からあこがれていた。
1970年代初め、自分用につくったことがあった。
グレイのヘリンボーン・ツイード製で、上襟に黒ビロードがけという、キザなコートだった。
気に入っていて、スーツと合わせてよく着たが、スーツを着なくなったので出番は消えた。
このコート、現在神戸ファッション美術館にある。

(おわり)

kroschester1973