バミューダ・ショーツを生まれて初めて見たのはアメリカの雑誌でだった。カッコいいと思い、まねしようとした。1950年代半ば、日本中どこ探してもバミューダなんか売っていない。なければつくるしか手に入れる手段はない。

フと思いついた。いまはいている長ズボンを短くすればいいと。学校近くの修理店に持ち込み、切ってもらった。そのズボンはウールギャバジン製で色はベージュ。唯一の替えズボンだったが、おしゃれのためだ、バッサリやってもらった。

持ち帰り、はいてみた。鏡に映っているのはダブダブの短いステテコ。長さにばかり目がいっていて、太さまで気が回らなかったのだ、大失敗。大切なズボンを一本駄目にしてしまった。

そのズボンは2本タック、腰回りゆったりの代物。当時、ノータックなんて考えられなかった。わがファースト・バミューダは、かくも無残な姿で終わった。

(おわり)

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