「炎のランナー」のストーリーは、パリ五輪陸上短距離で祖国イギリスに金メダルをもたらした2人の若者の実話。

ユダヤの血をひいていたために、差別と偏見を受けてきたケンブリッジ大生ハロルドにとって、走ることは偏見に勝利することでもあった。一方、宣教師の家に生まれたエリックは、神のため、信仰のために走るのだった。

映画は1920年代のカレッジ・ルックと、スコットランドのツイード中心のカントリー・ルックをたっぷり見せてくれる。殊にケンブリッジ大は貴族の子息が多く学ぶ大学だけに、出てくる服が素晴らしい。新入生歓迎の晩餐会での燕尾服、クリケットの服装、キャンパス内での学生たちの日常着など、見応えあるものばかり。

パリ大会へ乗り込む英国選手団のユニフォームもカッコいい。ネイビー・ブレザー、クリケット・セーター、クラブ・タイ、ホワイト・トラウザーズ、ボーター(カンカン帽)など・・・。昔の「男服(おとこふく)」はお見事のひと言。

(おわり)

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