20世紀初め、「最も上品なスポーツ」と呼ばれたのがテニスだった。

ウエアにも「縛り」があり、上から下まで白1色でなければならなかった。男性はオックスフォードかブロード地の長袖シャツ。多くのプレーヤーは袖を肘の上までまくり上げて着た。パンツは白またはクリーム色のフランネル製で、裾には折り返しをつけた。

エレガントなスポーツ・ウエアが、機能的になったのは1920年代後半。袖まくりするくらいなら、はなから半袖に。フットワークを考えるなら長ズボンより半ズボン。こうして機能優先ウエアはアッという間に上品なスポーツを過去の遺物に追いやってしまった。

「白でなければ」のお約束も、ポロシャツの襟に入ったラインの色から始まり、いつの間にか「昔は白だったんだって?」といわれるくらいカラフルに進化?した。

保守派のわたしがウィンブルドンを見るとホッとするのは、このような理由からなのだ。

(おわり)

Bundesarchiv Bild 102-10190, Wimbledon, Tennisturnier
出典:Wikimedia