今年6月、「フランネル・フラワー」を話題にした。「この秋はフラノが着たくなった。ホワイト・フランネルではない、オックスフォード・グレイだ」と結んだ。

その秋が遠かった。待ちに待ったフラノの季節がやっと来た、いや長かった今年の夏は。思い出したくもない猛暑だった。

そのフラノだが、わたしの好きな毛織物の筆頭。男の服はフラノに始まってフラノで終わる、といっていいだろう。

ところで、フラノは日本語で、英語では「FLANNEL」。発音はフランネルではなく、フラヌルに近い。わが国に紹介された時、FLANとNELに2分され、毛織物は「FLAN=フラノ」、綿織物は「NEL=ネル」と呼ぶようになる。

フラノ製のブレザーや、ネルのシャツ(いわゆる綿ネルや、ネル・シャツ)に分かれた。日本人らしいデリケートさだが、海外では通じない和製造語のひとつである。

(つづく)