林:こちらのアイロン台をつかってまず感じるのは“大きい”ということ。
なるべく衣類の位置を動かさずに掛けることができるのはとても重要だと思います。
中島:開発に当たりあらためてアイロン掛けをしてみると、シャツをセットすることに時間が掛かることに気付きました。
そこで“時短”をキーワードに開発を進めることにしたんです。
大前:当時はトルソー型のアイロン台がありましたが、熟練した技術が必要で中々難しい。
立体的なものを立体的に掛けるという事に特化しているように思います。
中島:その後 “身頃を4回で掛ける”ということを目標に設定しました。
週に一、二回アイロンを掛けるか掛けないかというような方でもスピーディーにこなせる回数。
“身頃4回”という目標からおのずとアイロン台のサイズが決まっていきました。
ダンボールで型をいくつか作り、適切なサイズを割り出していきました。
林:仕上げ馬の作りも面白い発想ですね。
そもそもシャツでアイロンを掛けづらいのは剣ボロ周辺や肩周りです。
今まで私はミトン型のものを使って掛けていましたが、大きめのものだと袖を通らず苦労しました。
鎌倉シャツのアイロン掛けでは袖を丸くふっくら仕上げるのですが、袖を普通に掛けるとペッタリとして潰れてしまいます。
そこで、仕上げ馬を使うことでふっくらと畳みジワも無く仕上げることができます。
中島:初期段階では仕上げ馬を搭載することは考えていなかったのですが、自分達で何度もアイロン掛けを試すうちに、やはり仕上げ馬は必要という結論に至りました。
大前:しかし一般的なアイロン台の仕上げ馬は収納が出来ずスマートではありませんでした。
林:どこかから持ってきてつける。というスタイルが多いですね。
中島:我々は収納メーカーなので、収納できるということには、特にこだわり、仕上げ馬の収納方法に関してはかなりの数の試作を作ったんですよ。
林:仕上げ馬の支柱を畳むとアイロン台にセットできるというのは面白いアイデアですよね。
中島:これは本当に最後の最後に出た案でした。
林:細かいところにも本当にこだわっていますね。
アイロン台にセットすると掛け面が大きくなるのは驚きです。
中島:仕上げ馬の長さについても様々な意見がありました。
もっと長い方がいいという声が多かったですね。
最終的に耐久性と利便性の兼ね合いから丁度良い長さを割り出しました。
林:スラックスやスカートなどを通せるように足の位置が工夫されているのも面白いですね。
私はスラックスにアイロンを掛けることが多いのですが、一番苦労するのは又上の部分。
ここをアイロン台にはかせるような形でアイロン掛けできるというのは非常にありがたいです。
中島:スラックスのアイロン掛けに関しても寝かせて片面一回で掛けられるサイズになっています。様々なスラックスを集めて適当なサイズを割り出したため、一般的なアイロン台のサイズより大きくなっています。
大前:掛ける衣類を細かく動かすというのは慣れないと非常に手間取ります。
一度で整えて一気に掛けるというのが時短の理想ですね。
スラックスは表と裏が一体なので、しっかり整えて掛けないと裏返したら変なシワが…なんてこともありますよね。
林:裏面を気にして整える時間が掛かる分、回数が減れば時間短縮になりますね。
ストライプの柄も特徴的ですが、この柄には何か理由があるのでしょうか。
中島:とりあえずメインカラーをブルーにしようという事は決まっていました。
柄を決める際にストライプが少ないことに気付きました。
他社との差別化を考えたときに効果的だと考えました。
林:確かにアイロン台といえばグレーが一般的なイメージですよね。
ブルーストライプは部屋に置いたときの印象もお洒落ですね。男性の部屋にも女性の部屋にも合いそうです。
中島:アイロン台に関して言えば後発メーカーですので、インパクトも重要です。
今後は、さらに色・柄を増やしていきたいです。
やはり選ぶ楽しさは重要だと考えています。
トルソー型のアイロン台
トルソー(胴体を意味するイタリア語)を型取った人体型アイロン台
身頃
衣服の、そで・えり・おくみなどを除いた、体の前面・背面を覆う部分。
仕上げ馬
アイロン掛けの際、シャツの袖など、細かい箇所を仕上げるのに便利な道具です。
剣ボロ
袖先の切り込み部分に付けられた細長い布。剣の先ようにとがっていることから、こう呼ばれている。
アイロン台にセットできる
仕上げ馬を使用しないときは収納が可能。収納時は掛け面として使用できる。