鑑定士には遠く及ばないが、わたしも手袋好き、ただし非潔癖性。

親が与えてくれた通学用手袋のやぼったさに目覚め、自分の金で手袋を買ったのは大学生の時。
いまも覚えているその手袋を……手の甲がメッシュのドライビング・グローブだった。
車もないのになんであんなものをと思うのだが、当時はえらくカッコよく見えたのだ。

タウンユースの手袋には興味がなく、特殊なデザインにひかれた。
乗馬用、暖炉用、金属鎖で出来ている工作用手袋など、使うつもりはなく、単にデザインの面白さで集めた。 

中でもユニークなのはアメリカ製鴨猟用ミトン、左手しかない。
鴨猟は冬場に行われる。右手は銃の引き金を引くために素手でいなくてはならない、だが寒い。
そこで左手の丈をひじまで伸ばし、右手を温めるウォームポケットを付けた。
左袖に右手を差し込んだ形だ。カモが飛んできたら右手を引き抜き、引き金を引くのである。

などなど、変な手袋がグジャグジャ。(おわり)

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