初めて見るインバーネス空港にはびっくりした。 

空港ビルなどない。ちっぽけな黄色い木造の小屋が1軒原っぱに建っているだけ。
ロンドン・ヒースロー空港で預けた手荷物は、滑走路横の草の上に並べられていた。
乗客は慣れた手つきで荷物を取り上げ、停めてあった自分の車に向かった。
アッという間に人の姿は消え、東洋人2人がボンヤリと立ちすくんでいた。

ここからハイランド(スコットランド北部)の旅が始まった。
そうそう、ダッフル・コートの話だった。
古都インバーネスでは何人かのダッフル姿を目撃したが、若者ではなく年配者ばかり。
ヨボヨボのじいさんがダッフルを着ていた姿には感激した。
退役軍人らしき雰囲気のただよう人だった。

ダッフルはおしゃれではなく、防寒コートとして着用されていた。
若者中心に大流行した日本は、違う方向に向かっていたようだ。(つづく)