J.F.ケネディが日本の若者たちに与えた影響は大きかった。それは服よりも髪形により多く表れた。

ケネディのヘアスタイル「ケネディ・カット」は、思いもよらぬ需要を引き起こすこととなる。アパレル業界ではなく、家電メーカーに特需をもたらした。ケネディ・カットは、キッチリとした横分け、それにはどうしてもヘアドライヤーが必要。そのころ、ヘアドライヤーは理髪店専用で、いまみたいに一般家庭にまで普及していなかった。

そこに目をつけた某家電メーカーは、コンパクトで買いやすい価格のドライヤーを開発した。赤と黒2色の小型ドライヤーを「アイビー・ドライヤー」(3,300円)として若者向けに発売した。結果は大ヒット!

家電製品を若者に売る、斬新なアイデアで彼らは、電気カミソリ、テープレコーダーなどを「アイビー・シリーズ」の名で次々発表、新たなマーケットを創造した。メーカーの名は「SANYO」。1964年のことだ。

(つづく)