電車通勤しているので、様々な人の服装を観察することが出来ます。

日本の男性ビジネスマンの通勤着、スーツ、ジャケットで気になるのは、上衣の袖丈です。
約80%ぐらいの方の上衣の袖丈は、親指がかくれるくらいの長さである。
この事によって、この方の上衣のサイズが合っていない印象を受けるし、だらしなく見えてしまう。

上衣の袖丈は、手首のくるぶしから1cmくらいの長さに修理して購入して欲しい。
上衣の袖口から1cm~1.5cmくらい、シャツの袖がのぞいているのが理想である。
従ってシャツの袖丈は、親指の付け根から2cmくらいの長さとなります。

上衣の袖口がシャツより長い場合。
袖口は何時も手に触れるため、脂汚れします。この脂汚れは、クリーニングでも落ち難い。
上衣は、シャツのように度々クリーニングするわけではない。1シーズン着用すれば、その脂汚れは相当なものになり、高価な上衣を駄目にしてしまいます。

出来るビジネスマンの姿は、上衣、ズボン共にサイズが体にフィットしており、上述の様に袖丈が正しく、その袖口から清潔なシャツのカフスが覗いている。それが颯爽として格好良いビジネスマンの姿なのです。

夏にむかい、暑い日の服装はさらにだらしなくなります。
サラリーマンの背広姿は、ほぼ100%近く、上衣のボタンを外し、シャツ、ネクタイが裸けて見える格好で歩いています。そこで、袖丈が長く(オーバーサイズに見える)、ネクタイを緩め、前かがみで歩いている姿は、本当に情けなくなってしまいます。
英国領であった香港(すごく蒸し暑い)で、イングリッシュ・ジェントルマンは、三つ揃えのスーツを着用し、ネクタイ姿で平然と姿勢よく歩いていました。恐らく、人の上に立って仕事をされていた人達と思いますが、厳しい精神の鍛錬とプライドが世界のリーダーとしての立ち居振る舞いをさせているのでしょうが、その姿は美しく、男性の在るべき姿をみたように思ったものです。

上衣の袖丈で思い出の深い話。
かつて、石津謙介先生が親しい人の結婚式に参列され、記念写真を撮る段に、カメラマンから、石津先生、上衣の袖から白いYシャツのカフスが覗いていますよと注意されたそうです。
当時、映画スターやスポーツ選手が欧州製のブランド品を着用していました。いかにスポーツマンで長身でたくましくても、ラテン民族のリーチの長さは比べものにならないのです。
従って、肩幅に合った上衣は、指が隠れるくらい袖が長いのです。これが、テレビの映像で流されるわけですから、あの格好いい人達の着こなしが、正統と考えたのでしょう。
石津先生は、大層なげいておられました。貞末君、どう思うかねと・・・。

さて、私達日本人のルーツには着物があり、洋服の文化を取り入れてから歴史も浅く、又その着用のルールは男子服に求められ、正しい着用の方法は教わる機会に恵まれない。
このため、単に上衣の袖丈やシャツの袖の長さにも無頓着になってしまいます。
しかし、どんな男性でも自分のスタイルが格好よかれと願っているものなのです。
まず始めに、上衣の袖丈、シャツの袖丈に注意を払って戴きたいものです。

他人に好印象を与える。
この事は、礼節の第一歩であります。

私は、外国人と接する機会が多く、初めて来日される外国人の方々は皆様、日本人の礼儀正しさに感心しています。日本人同士が、互いに頭を下げてお辞儀をしている姿は、とても美しくお互い尊厳を持って対峠していると映るらしい。
シュリーマン旅行記(1850年頃)、中国を経て日本に上陸したシュリーマンは、中国のそれに比べ日本人の礼儀正しさ品格の高さに心を打たれた様子を描写している。
私たちの先輩は、この礼節でもって、世界に堂々たる存在感を示してきたのではないでしょうか?
幕末の徳川使節団の訪米に於いては、正しく着用された「サムライ姿」であったが、米国では、高い評価を伴い大歓迎された。と記述されている。

礼に叶った服装と、その立位振舞はどの国に行っても説得力のあるものであります。
私は、何度も服装の重要性を論じてきていますが、今の日本のビジネスマンが外国で説得力ある服装立ち居振る舞いが出来ているか?
品格を失いつつある、ビジネスマナーを考えると、寒々とした気持ちになってきます。

私たちの使命、会社の使命として、誇りある日本人の目覚めを願いながら礼節ある服装の提案を続けるつもりであります。