私達の会社は、イギリスの紳士服に学ぶことを原点としてスタートした。

イギリスは紳士スーツを1667年に発明し、350年もの間進化の歴史をたどることになるが、服飾の歴史の中で350年も続いて全世界で着用されている服種も例をみないのではないか。
その経済性・効率、全天候型であり、体型になじみ活動的で、何よりも男性を逞しく知的でセクシーに見せる事が全世界の人々に支持されたのであろう。

紳士スーツシステム(上衣、ベスト、トラウザーズ、シャツ、ネクタイ、ベルト、靴)は、その時代時代の人々に支持され現代にまで続いている。まさに「CLASSIC」なのである。どの時代にも人々に支持されたが故に生き延びて、現代ではそれを、音楽と同じように「CLASSIC」ということになる。
音楽もその基本旋律は変わらないが、楽器の発達や音響効果の進化を含め、演奏家や指揮者の時代の背景を上手に反映させたからこそ、その永続性が保たれたと考えることができる。
私達の会社も、単純に過去返りするのではなく、クラシズム(基本)を保ちながら時代のセンスを巧みに取り込んでいかなければならい。

売らんかなの姿勢が強すぎる。
売れているものが正しいということに成る。

時代の要求は必ず変化する。その変化の一部を全体としてしまうマーチャンダイジングは、私達の築いてきた、長く支持して下さった人達の信頼を裏切ってしまいかねない。

お客様に信頼を戴き、製品に対する、あるいはストアに対するロイヤリティーが高まり、メーカーズシャツ鎌倉がブランドロイヤリティーを持ち始めているこの時期に、私達はもう一度時代のセンスを吸収しながらも『Back to basic』を強く意識したい。

私達が鎌倉のコンビニの2Fに16坪のSHOPをスタートさせたときは、「メーカーズシャツ鎌倉って何ですか?」という時代でした。
西欧のレーベル名しか受け入れてもらえない時代。
ブランド名は「Bow Bells House(ボウベルズハウス)」であった。
和製の「鎌倉」が通用する理由もなかった。

あれから15年。

ひたすらに良いシャツを一生懸命作り続け、シャツ製造にたずさわる全ての会社の人達と、信頼を裏切ることの無い公平な取組、翌月現金で総ての仕入先様へ全額支払い続けることで、小さな会社が信用を得る事ができ、製造企画、販売の総力が信頼の輪となって、メーカーズシャツ鎌倉が初めて日本人の手で、西欧の発明である服飾のブランド化を実現しようとしている。
これこそが創業の時の祈願であり、夢であった。

創業15年にして私達は 「Bow Bells House」 から 「Maker’s Shirt 鎌倉」 ブランドとして、新しい挑戦を始める。

幸いにも、TEXTEQというブランドでスタートしたジャケット・トラウザーズは高い評価を得る事ができ、業界の著名な方々、政府の高官の方々への服飾提供をさせて戴いており、私達が夢とする全服種のみならず、私達メーカーズシャツ鎌倉が描く世界観を提供出来るべく、将来の夢を進化させたい。

このアーティクルは私が年頭の決意で語ったことに関連しており、私達グループの社員を含め、経営する私の決意表明であります。

2007年5月14日    貞末良雄