Maker's shirt 鎌倉

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くろすとしゆきオフィシャルブログ

235:上品より機能優先に…


20世紀初め、「最も上品なスポーツ」と呼ばれたのがテニスだった。

ウエアにも「縛り」があり、上から下まで白1色でなければならなかった。男性はオックスフォードかブロード地の長袖シャツ。多くのプレーヤーは袖を肘の上までまくり上げて着た。パンツは白またはクリーム色のフランネル製で、裾には折り返しをつけた。

エレガントなスポーツ・ウエアが、機能的になったのは1920年代後半。袖まくりするくらいなら、はなから半袖に。フットワークを考えるなら長ズボンより半ズボン。こうして機能優先ウエアはアッという間に上品なスポーツを過去の遺物に追いやってしまった。

「白でなければ」のお約束も、ポロシャツの襟に入ったラインの色から始まり、いつの間にか「昔は白だったんだって?」といわれるくらいカラフルに進化?した。

保守派のわたしがウィンブルドンを見るとホッとするのは、このような理由からなのだ。

(おわり)

Bundesarchiv Bild 102-10190, Wimbledon, Tennisturnier
出典:Wikimedia

234:「ホワイト・スポーツ」の語源


ウィンブルドンには事前に取材を申し込み、OKをもらっていた。シーズンオフでもあり、どこを撮ってもいいといわれ、人けのまったくない建物内へ足を踏み入れた。

日本のクラブハウスは知らないが、ウィンブルドンはどこをのぞいても歴史の重みをズシリと感じた。よく手入れのゆきとどいたサロン、古いが機能的なロッカールームなど、見るもの見るもの欲しくなる良質な英国アンティークばかり。

奥から「ポーン、ポーン」と、ボールを打つ音が響いてくる。音を頼りに暗い廊下を進む。明るい屋内コートに出た。

上品な中年婦人のお相手を男性コーチが務めているところだった。1打ごとに「お上手」と声をかけながら、おだやかにボールを返しているコーチは中年で、白の長袖シャツに白の長ズボンとクラシックないでたち。婦人も真白なテニスウエア。さすがウィンブルドン、「ホワイト・スポーツ」の語源を教えられた素敵なシーンだった。

(つづく)

Wimbledon, 1960-75
出典:Wikimedia

233:テニスの聖地ウィンブルドン


テニス4大大会のひとつ、「ウィンブルドン選手権」が終わった。今年はサッカーW杯と重なり、いつもより盛り上がりに欠けた。

わたしがウィンブルドンに興味を持ったのは今から40年以上も前のこと。VANを退社した1970年、アイビーのお手本になっていた英国の服装や生活に関心を抱くようになっていった。というのは、60年代の10年間は、VANにいて朝から晩までアメリカ、アメリカの毎日だった。アイビーのネタ元であるイギリスに、少しずつだが目が向くようになったのは、ごく自然の流れだった。

VAN退社2年後の72年、イギリス行きのチャンスが訪れた。スケジュールの間に、ウィンブルドン行きを無理やり押し込むことに成功した。

3月のロンドンは暗く寒かった。ロンドン郊外にあるテニスの聖地ウィンブルドンの前に立った。威厳に満ちた建物に、大英帝国の歴史と厚みを感じ、思わず身震いした。

(つづく)


出典:http://www.wimbledon.com/

232:ベッドフォード・コード帽


「ピケ」が、えん尾服の下に着用する白い「ウエストコウト(WEST COAT)」用生地だったとは初めて知った。いわれて思い出した、ロンドンの古着屋で買ったヴェストがまさにこの生地。それはうねではなく、ワッフル状のでこぼこが付いた替わった素材だったことを。では、帽子でかぶっていたあの生地の正式名はなんというのか。

「BEDFORD CORD(ベッドフォード・コード)」という名称を突き止めた。「織物の縦(たて)または斜めの方向にあぜをつくった緯(よこ)糸二重織りの一種」。要するに、起毛していないコーデュロイと思えばいい。

ベッドフォード・コードは丈夫な織物なので、乗馬用パンツや、作業ズボン用として使われたようだ。

ところで、ピケ帽と呼んでいたあの帽子、正しくは「ベッドフォード・コード帽」と判明したが、いまいちピンとこない2018年猛暑の夏。

(おわり)

231:「ピケ」の意味


「ピケ」とは妙な名だ、なにかの略語ではないか。資料を探しまくってやっと見付けた。

「PIQUE=ピケ(仏語)虫に食われた。穴のあいた。刺縫いした布」(仏和辞典)

刺縫いした布だけではなんのことか分からない。昭和7年発行「英和 洋装辞典」によると、「ピーケー 畝織又は浮出し文様のある綿布。普通白地の経棒の略織物にして上等品は麻糸を用ふる事あり。(略)薄地の物は婦人服児童服地とし厚地はチョッキ地として夏季及夜会服の場合に用ひらる」(原文のママ)。少し分かってきた。

「ピケ 縦に畝があるか、変わり織りの、しっかりと地合の締まった綿織物」(ファッション辞典)

縦に畝(うね)がある綿織物は、わが「ピケ帽」とピッタリだが、帽子用ではなかった。夜会服(えん尾服)用だったドレッシーな生地を、学童用の帽子という正反対の用途に転用した「知恵者」がいたのだ。

(つづく)

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