時代とともに移り変わるのが常識といわれる音楽の世界で、あえて時代に流されない音楽がある、
それが「トラッド」だと、竹内まりやは最新アルバムで主張している。

実はトラッドという表現を日本で最初に使ったのは、くろすとしゆきだった。
1966年、「KENT」ブランドを立ち上げた時、「アイビーのVAN」に対抗するキャッチを探していた。
そんな時、米音楽雑誌の中に「TRAD」という文字を見付けた。

それは「トラッド・ジャズ」についての記述。
トラッド・ジャズとは、トラディショナル(伝統的)ジャズを指す造語で、
アメリカの伝統的ジャズ、すなわちディキシーランド・ジャズのこと。

トラディショナルは知っていたし好きな言葉だった。
55年に創立した「アイビー・クラブ」の正式名は「トラディショナル・アイビー・クラブ」だったが、
長いので使わなくなっていた。ところへ短く歯切れのいいトラッドを知り、とびついたという訳だ。(つづく)