「懐かしの服地 ギンガム」
おしゃれに目覚めた1950年代半ば、それまで気付かなかった周辺がにわかに華やかに見えてきた。それに比べてわが身なりのなんとやぼったいことか、自己嫌悪に陥った。

そのころ、おしゃれな女子は申し合わせたように「SEVENTEEN」誌を抱えていた。米国の大判女性誌で、持っているだけでカッコよかった。いまのように既製服がない時代、彼女たちの服はオーダーメ―ド。しゃれた服地を探して「お仕立うけたまわります」と看板のある街の小さなドレスメーカーで仕立ててもらうのが普通。器用な子は自分でミシンを踏んだ。型紙はあちこちで売っていた。

おしゃれなお嬢様たちが好んだのは、ギンガム・チェックのシャツドレス。わたしが最初に覚えた生地の名はギンガムという木綿地。赤と白、黄と白、ブルーと白などの格子柄は、まぶしいほどアメリカして見えた。

(つづく)