思い出すのは北京五輪を控えた2008年、英スピード社製水着「レーザー・レーサー」で、世界記録が連発。10年から同様の性能を持った他社製も含め、禁じられた問題。

用具の進歩にまつわる議論は常にある。他競技でも、ゴルフのクラブなど道具の進化とともに競技レベルが上がってきた歴史がある。ランニング・シューズもいまは厚底だが、いつ「非厚底シューズ」にとって代わるやもしれない。

これからも同様の問題が起きるに違いない。が、はっきり言えること、それは「走るのは人間」という事実。

先のエリウド・キプチョゲはこう発言している。「技術の進歩を否定するのではなく、先に進むべきだ。問題は靴ではなく走る人間だ」と。

JOCは「アスリートファースト」と言っているが、セカンド、サードへ追いやられ「世界陸連ファースト」に向かっている気がしてならない。

(おわり)

Unveiling of LZR Racer in NYC 2008-02-13
出典:Wikipedia