暖冬をありがたがるのは年寄りばかりで、困っている人の方が世の中多い。

暖かいと売れないモノを商っている人たち、例えば「おでん」。寒いと売上げがぐ~んと伸びると聞く。

アパレル業界も暖冬反対派。ダッフルはじめ防寒コートが売れないからだ。

わたしがVANにいた1960年代のこと。何年だったか忘れたが暖冬の年があった。

キルティングやウールボアなど、ライニング付き防寒コートがごっそり売れ残った。企画担当者としては責任感じ、毎日が「針のむしろ」状態だった。

当時、商品企画は1年先行、1年先の気温など読めるはずがない。かといって、控えめだと足りなくて営業から文句を言われる。

最終決定は「勘」にたよるしかない。企画部には勘の鋭い人材が必要とされるアナログの時代だった。

「冬は寒く、夏暑い」のがアパレルにはありがたい。

(おわり)