先の「台風8号」は思わぬ被害を及ぼした。今年の夏が台風の当たり年にならねばよいが。

台風といえば、わたしの中学生のころは、いまのように番号ではなく、女性の名前で呼ばれていたのを思い出した。
その頃は日本の気象観測技術が遅れていて、進駐軍に頼っていたからだ。
 
1946年—ということは敗戦の翌年—から、米軍の気象研究者たちは台風に、
自分の妻やガールフレンドの名前をアルファベット順に名付けていた。
「キャスリーン(47年9月)」、「アイオン(48年9月)」、「キティ(49年8月)」、
「ジェーン(50年9月)」などが記憶に残る。色っぽい女性名前の台風は52年まで続いた。

当時、アメリカがなんでもよく、台風までカッコいいと思っていたのだから、
なんというバカな中学生だったのだろう。
それもこれも敗戦直後、初めて見た進駐軍のジープや軍服のスマートさに心底ほれ込んでしまったからだ。(つづく)