わが学生時代――ということは1950年代のことだ――
六大学野球のユニホームはフラノでできていた。

などというと「エーッ?」と声が上がりそうだが、本当のハナシ。
KEIOのユニホームはミディアム・グレイで、スーツにしたらよさそうなフランネル製の上下だった。

六大学だけでなく、プロ野球のユニホームもウール製。
いまならもったいないと思うが、当時はほかに素材がなかったのだ。
一方、アマチュア野球はコットン・ギャバジンか、コットン・フランネル製を着た。

わたしがVANに入ったころ、野球が盛んだった。
人数も少なく、下手くそなわたしでもメンバーに入れてもらえた。
そのころのユニホームは、クリーム色のコットン・ギャバジン製、背番号代わりにfor the young ~ VANのロゴマーク。
カッコだけは一流だったが弱かった。わたしが出られるくらいだもの。
だが、すぐに出番はなくなった。上手な若手が次々入社してきたからだ。(つづく)