1950から60年代、アメリカの大版雑誌の黄金時代。「GQ」「ESQUIRE」。女性誌では「McCALL’S」「HOUSE AND GARDEN」など、どれを取っても豊かなアメリカ」にあふれていた。

その頃、アメリカン・ライフの中心だったのが「サバーバン・ライフ」だった。アーバン・ライフとの違いは「ゆとりある生活」。広い家と庭、それにふさわしい大ぶりな家具。車も荷物がいっぱい積めるステーション・ワゴンに注目が集まった。この時代の「アメ車」は最もアメリカらしく大型で、大排気量のエンジンを有する。

ライフ・スタイルにも変化をもたらせた。例えばファッション。アーバン・コートの代表だった「バル・ラグラン」――日本ではステンカラー・コートと呼ばれたもの――から、コート丈の短いスポーティなコートへと移っていった。「サバーバン・コート」の誕生だ。

サバーバン・コート姿の男性が、ワゴン車へ乗り込む広告ページが目に浮かぶ。

(おわり)